小児皮膚外科とは
皮膚外科とは皮膚疾患を外科的に治療する診療科になります。当クリニックでは乳幼児や学童期のお子さんなど、主に小児を対象としたあざの治療、福耳などの外科的治療を行います。
小児皮膚外科で扱う主な疾患
あざの治療
(血管腫などの赤いあざ、異所性蒙古斑などの黒いあざ)
小児によく見受けられるあざとしては、いちご状血管腫(乳児血管腫)や異所性蒙古斑などがあります。それぞれのあざの説明は以下の通りです。
いちご状血管腫とは
赤あざの一種で、主に生後2~3週間から3カ月までの間に発症するとされる血管腫です。ピーク時は5cm程度の鮮紅色の腫瘤がみられるようになります。その見た目というのが、いちごのように見えることから、いちご状血管腫と呼ばれるようになりました。なお、この血管腫は、未熟な毛細血管が増殖することによって発生します。
発症部位は限定されることはなく、どこの部位でも起きる可能性はありますが、なかでも頭部や顔面、腕などでみられやすいと言われています。
治療について
いちご状血管腫に関しては、他の赤あざと違って自然と消失するようになるので、治療をする必要はないとされてきました。ただ瘢痕が残りやすいという特徴もあるので、現在は早期からβ受容体遮断薬の内服薬による治療も取り入れられるようになりました。これは、レーザー治療では増殖を抑えられないほど大きい、血管腫が深部にあるという場合に有効とされるもので、もともと心疾患の治療でも使われていた薬です。ただ低血圧や低血糖といった副作用を招くこともあるので、導入に当たって入院が必要になることもあります。
このほかの治療法としては、従来からある色素レーザーを照射していく治療(一定の間隔を空け、通院する必要があります。痛みはゴムで肌をはじく程度です)のほか、血管腫による赤みは引いたものの盛り上がりが残っているという場合に切除する手術療法というのがあります。
異所性蒙古斑とは
黄色人種や黒人に多いとされ、出生時より臀部や腰仙部の周囲にみられる青あざのような母斑を蒙古斑と言います。発生原因は、胎児期に生成されたメラノサイトが真皮に残るのではないかと言われています。この母斑が先に挙げた部位だけでなく、腕、肩、腹部、足、腰仙部を飛び出して広範囲に蒙古斑が及んでいるという場合を異所性蒙古斑と言います。
蒙古斑は多くの場合、学童期の頃までに自然と消失するようになりますが、異所性蒙古斑の場合は、自然に消えるようになるという可能性は低いです。ただ放置をしたからといって、将来的に何らかの重篤な症状が起きるということはありません。したがって、異所性蒙古斑をとりたいと希望する場合は、整容的に行うということになります。
治療をする場合はレーザー療法として、QスイッチルビーレーザーやQスイッチヤグレーザー、ピコレーザーなどを 行っていきます。ただ1回の治療で終わることはないので、ある程度の間隔を空けつつ、通院する必要があります。なお、整容目的であっても先天性のものなので、保険適応となりますが、その場合は制限があって、それを超えると保険適応外となることもあります。詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。
副耳
副耳は、先天的に見受けられる耳の手前や頬などに発生する、いぼ状の突起物のことを言います。単発(主に耳付近)でみられることが大半ですが、耳や頬に複数個(多発)発生することもあれば、耳の両側に発生することもあります。なお副耳は、出生1000人に対して15人ほどにみられるとされる症状で珍しいわけでもありません。
副耳の中身に関してですが、場合によっては軟骨が含まれていることがあります。軟骨があってもなくても何らかの自覚症状がみられることはないので、放置でも何か問題が発生するということはありません。そのため、副耳を除去したいという場合は、整容目的がほとんどです。
治療について
治療をする場合は、外科的治療になります。軟骨を含まない副耳は、ナイロン糸などで根元を縛って、副耳を血流不足にさせることで1~2週間くらいの期間で脱落させる結紮術を行います。また軟骨を含む副耳に関しては、副耳を軟骨ごと切除していく切除術となります。